ゲーム”The Testament of Sherlock Holmes”を推しに推したいという話。
”The Testament of Sherlock Holmes”はFrogwares社開発のWindows/Xbox/PS3向けゲームです。日本国内だとWindows版一択……になるのかどうかよく分かりませんが、Windows版ならSteamやGOGで購入できます。音声は英語のみではあるものの日本語字幕版も配信されていて、Steamだとタイトルが「シャーロック ホームズの遺言 」と訳されているようす[1]しかしこの”testament”は「遺言」なのかどうか……?。
Frogwares社のホームズものゲームとしては日本語対応済みの「遺言」、「罪と罰」、「悪魔の娘」の三タイトルが有名なんじゃないかなと思われます。先日最大85%OFFというcrazy discount[2]公式の文言: FrogwaresのTwitter公式アカウントのツイートに釣られてどれか遊んでみようかなと思ったときも上記の三作で迷ったんですが、”The Testament …”を選んだきっかけはメインビジュアルの格好良さと、思わせぶりな公式トレーラーでした。
「――ワトスン、すまない」
「真実を話してくれ、ホームズ、知らないままではいたくない! 説明しないでおけるとは思ってくれるなよ、言うんだ!」
ロンドン、1898年――
もしも 世界で最も偉大な頭脳の持ち主が、最も危険な人物でもあるとしたら――?
そしてもしも 最後にはシャーロック・ホームズが死ぬしかないとしたら――?
……みたいなことを言っていると思われます上記のトレーラー。
正直なところ序盤の「すまない、ワトスン」「真実を話してくれ、ホームズ!」の部分に惹かれたのが8割くらいなので、クリア後の現在改めて中盤~終盤を見てみて、全体的な雰囲気をしっかりと伝えてくれているトレーラーだったんだな、と感心しています。「彼のキャリアの中で最もダークな事件!」的なことも言っていますね、その辺ほぼほぼ気にせず購入しましたねわたし……。
ストーリーの要素としては上記のトレーラーで大体説明されているので、ざっとゲームシステム部分の紹介を以下。
ゲームの進め方としては、お二人や他の登場人物を含めた会話→部屋を探索してアイテム回収→アイテムを使って部屋の中にある仕掛けを解く→その場所でやることが終わったらムービーシーンや会話があってストーリーが展開、という流れです。
プレイヤーは主にホームズさん、時にワトスンさん他を操作します。操作の上手さや速さを求められる機会は一箇所くらい[3]その一箇所もわたしが理解できていなかっただけで速度を求められてたわけではなかったような気がしている。、ほぼ無かったです。
操作方法は(A)一人称視点、(B)(基本的には)キャラクターの後ろにプレイヤーの視点が来る三人称視点、(C)固定カメラの三人称視点と三種類から選べます。個人的には(B)が楽しかったんですが、あまり使い勝手の良い操作方法ではない……のか単にわたしが下手なだけなのか、マウスでカメラの向きを変えるのがストレスフルで時折(C)に切り替えたりもしていました。
謎解きは脱出ゲーム[4]リアルの方ではなくかつてJavaScriptで作られていた方の。的なアイテムの組み合わせで進めていくパターン、数字や図形を使ったパズル系、情報を繋ぎ合せて仮説を導く推理系などいろいろありましたが、あまり長時間悩んでいるとゲームの方が見兼ねてスキップボタンを表示してくれるので、パスしてストーリーを進めることもできます。
謎解きのあとには大抵ホームズさんが「簡単なことだ(Simplicity itself.)」とコメントをくださるので、スキップ機能を使うと若干の敗北感というか罪悪感というか煽られているような気持ちになりますが(笑)、ゲーム進行上のデメリットはありません[5]スキップしたことでバッジ(ゲーム実績のトロフィー的なもの)が貰えない場合もあるのかもしれない……?(よく分かっていない)。
普段ゲームをしない人でも問題ない(と思う)のでストーリー目当てに是非!! という気持ちで概要を真面目に紹介しましたが、以下本題の個人的に楽しかったところ。
■ホームズさんワトスンさん
声が良い。
ホームズさんの静かで淡白な喋り方、ワトスンさんの穏やかで人間味のある、強い口調で話しているときも決してキツくは響かないお声、とても素敵でした。
あとホームズさんのお顔立ちが好き……ワトスンさんも、とあるシーンでほっと安堵したときの表情がとても優しくて印象的でした。好き。
服装はホームズさんワトスンさん共に紳士仕様。ワトスンさんのパジャマ姿も見られます。画面内でホームズさんが動いているとき、ホームズさんのシルクハットのリボンの結び目部分がたまに見えるのが可愛かったです。
あとホームズさんの上着、フロックコートですかね、裾にドレープ(プリーツ?)が入っていて歩くたびにひらんとするのにときめいていました。
■ストーリー
個人的には序盤~中盤の少しずつ不穏さを増していく感じ、中盤の「いや怪しすぎるだろ……(※プレイヤーの感想)」からのワトスンさんの行動力、そしてそれ以降の怒涛の展開、はらはらしたりどうなるのか予想できなかったり、にやにやしたり泣きたくなったりときめいたりでとても楽しめました。
ホームズさんワトスンさんの性格や言動に関しては、まァ正典準拠と言っていいんじゃないかなと……思うんですが、ネットの感想などを見ていたら「人を選ぶ展開」「何でも許せる人向け」という意見が少なくなくて、自信をなくしています。この評価は主にホームズさんのせいだと思うんですが、まァ友人に対して割と辛辣なことも言うシャーロック・ホームズではあると思うので、その辺り好みが分かれるかもしれません。
個人的にはものすごーく面白かったし、ときめいたし、その絵面を見せてくれてありがとうごちそうさまです! というシーンが二つ三つあったので、とりあえずプレイしてみてお二人の冒険を見届けてほしいな、という気持ち……ゲームをやっていて、物語が収束するよりも五歩くらい前の地点で”And they lived happily ever after…”みたいな気持ちになったのはとても新鮮な体験でした。
参考までに、ハッピリーエヴァーアフターな気持ちだったときの個人的な感想(ネタバレ有り)を置いておきます。
■その他楽しかったところ
上記の通り基本的にはホームズさんがプレイヤーキャラクターなんですが、ホームズさんを動かすと後ろからワトスンさんもついてきてくれるのがとても可愛かったです。たまに進み過ぎてワトスンさんの方が前に行ったり、ふと振り向いたら思ったより近くに居て(プレイヤーが)びっくりしたり、一緒に行動している、そこに相棒が居る、という感じがあって、フィールドを歩いているだけでも楽しめました。
221Bの内装には幾つか正典ネタが仕込んであったり、ワトスンさんの寝室に洗面器が置いてあるのにおお……ってなったり、ホワイトチャペルの街並みをうろうろ出来る場面があったり、正典の世界、ヴィクトリア朝っぽさを感じられるのも面白かったなーと思います。
あとトレーラーは結構暗い雰囲気ですが、ゲーム全体のトーンとしてはさほどでもなく、ホームズさんがしれっととぼけた発言をしていたり、ワトスンさんが独り言で自分に”John”と呼び掛けて己を鼓舞していたり、クスッと笑えるところもあって楽しかったです。
そんなこんなでゲーム”The Testament of Sherlock Holmes”をどうぞ、GOGでなら2020年1月2日まで半額で購入できるので是非どうぞ!! という回し者行為でした。