「SHERLOCK」S3E1「空の霊柩車」、ラストシーンの会話について。
S3E1冒頭のシャーロック、自分が帰ってきたらジョンが驚くだろうなーびっくりさせてやろう! って本気で思っているのが可愛すぎませんか!!
という衝動の波が3日に1回くらい襲ってきます。真面目に語ろうとすれば色々あるんですが、ゆるく且つ簡潔に言ってしまえば「ばかわいい」というやつです。
そんなすれ違いというか認識の違いによって色々あったり、その色々も有耶無耶になったりなんだりした後のS3E1ラスト。221Bの部屋を出て階段で話しているところの会話は、何とも含みの多い会話だなァと思います。
John: When you were dead, I went to your grave.
Sherlock: I should hope so.
John: I made a little speech. I actually spoke to you.
Sherlock: I know. I was there.
John: I asked you for one more miracle. I asked you to stop being dead.
Sherlock: I heared you.
ここでジョンが“I asked you”という形で話していることに、なんというか、お前になら出来るだろシャーロック、きみは僕のヒーローなんだから、叶えてみせてくれ、と願っていただろう彼の気持ちが表れているように感じられて嬉しかったり苦しかったりするんですが。
これに対するシャーロックの“I heard you”、そのまま訳せば「(君がそう言ったのを)聞いていた」ですよね。どういうニュアンスなのかなァと不思議だったので幾つか辞書を当たってみました。
基本的には「音が鳴っているのを耳で聞く」やら「誰かが言っていることや音楽を(意識的に)聞く」という説明が出ていた中で、これは、と思ったのが以下。
1.4 Listen to and grant (a prayer)
――― hear – definition of hear in English | Oxford Dictionaries
“grant”が「授与する、下賜する」とか「かなえる、許す」という意味だそうなので、「聞き入れる」「(願いに)応える」という意味だと取って良さそうですよね、これ。 つまり「もう一つ奇跡を起こしてくれって頼んだんだ」に対する“I heard you.”は、「叶えてみせただろ」だとも取れるのではないか、と! 考えて、とてもときめきました、という話です!
例文を見るに「神様が祈りに応えて」というニュアンスが強いようなので、人間が使うには尊大過ぎるのかなとも思うんですが、まあそこはシャーロックだし(?)、誰かにとってのヒーローはその人の世界における神様に等しいだろう! という勢いです。解釈の道筋が繋がったときってとても楽しい。
とは言いつつも、自分で探してみた英英辞典の範囲では上記の意味を載せているものの方が少なかったので、結構無理のある解釈な気もします。
いずれにせよ結論は出さないわけですが、“I know. I was there.”からの“I heard you.”、単に「ぼくもそこに居た、君が言うのを聞いていた」という意味合いでもいいし、「君が望んだのを聞いていた、だからこうして帰って来ただろ」ってニュアンスが含まれて居てもいいな、と思います。だからジョンはほんのちょっと笑って返したんじゃないかな。ほら、きみは僕のヒーローじゃないか、って思ったんじゃないかな、という。妄想。
ところでこの会話のあと、玄関から外に出てマスコミの前で二人並んだときシャーロックがとても余所行きのニッコリ笑顔を見せているので、それを見る度、おお……と感心とも驚きともつかないものが込み上げます(笑)。
その横で首を伸ばすようにして真っ直ぐにシャーロックの横顔を見上げるジョンも大好きです。