Hobbs版「レディ・フランシス・カーファックスの失踪」、締めの部分のホームズさんの問題発言のメモ。
手書きでメモしていたものが発見されたので、再びどこかにやってしまう前に書き残しておこうと思います。
鑑賞記録も兼ねてブログのカテゴリーに「Hobbs版」を作りたかったというのもある。
Hobbs版ホームズのラジオドラマは、ホームズ役Carleton Hobbs、ワトスン役Norman Shelleyのコンビで1952~1969年の間にBBCで放送されていたシリーズです。だそうです[1]参考:Carleton Hobbs – The Arthur Conan Doyle Encyclopedia/Carleton_Hobbs – Wikipedia。
定番の台詞は“Elementary.”ではなくて“Capital![2]訳は「基本的なことだよ」とかで良いんでしょうか。”。1952~58年はこども向け、1959~69年は大人向けの番組で放送されていたそうな。
全部で70超のエピソードが制作されていて、そのうち幾つかはCDもしくはダウンロード形式でも購入して聴くことができます(自分用まとめ:Hobbs版鑑賞手段)。また、BBCラジオでも時折再放送されていて、ラジオ放送後にはインターネット配信で聴けたりするようです。
「レディ・フランシス・カーファックスの失踪」は、データ配信で販売されている「Sherlock Holmes Vol. 2」に収録されています。
流れは基本的に正典通りで、最後のシーンはお二人が事件を振り返っているところ。犯人達がフランシス姫も一緒に埋葬してしまうつもりだったのだろうと聞いて「なんて奴らだ、悪魔のようだ!」と憤りを見せたワトスンさんに対するホームズさんの台詞が以下です。
“Fiendish, but very very clever.
Quite new in annals of crime, I should say.[3]上がり調子。
It’s too much to expect, I suppose, that they escape the hands of our Scotland Yard friend.[4]上に同じく上がり調子[5]ワトスンさんにものすごく怪訝そうに“What?”と返されている。
Such brilliant originality could keep us happily engage for years to come, my dear Watson.”
字幕を表示させる術がないので書き起こしに全く自信がないんですが、まァ概ねこういう感じのことを言っているのではないかと思われます。
参考までに拙訳も以下。
「悪魔じみている、しかし実に実に巧妙だよ。
犯罪記録上、全くもって類を見ないものだろう。
彼らがスコットランドヤードの我が友の手を逃れてくれたら、と望むのは、贅沢が過ぎるんだろうな。
あれほどの素晴らしい独創性なら、僕らはこの先何年間も愉快に取り込むことが出来るだろうに。なあ、ワトスン君?」
my dear Watson? じゃないんですよワトスンさんは犯人達の行いに怒っているんですよ……!
この、ワトスンさんの憤りをスルーして“could keep us happily engage”なんて言ってしまうホームズさん、これはこれでとても好きです。
とはいえHobbs版ホームズさんが反社会的なサイコパスかと言うと、そんな印象はなく。少なくともBBCラジオの”Sherlock Holmes with Carleton Hobbs – Series 2″の7作品を聴いた限りでは、たまにワトスンさんに対して辛辣すぎるかなァという程度でした。
なので逆にこの台詞は何があったのか……印象に残ったのは確かですが!
そしてこの台詞で物語が終わるので、聞いたあとの戸惑いの行き場が無くて困ります。
ちなみにこのエピソード、放送は1960年だそうで、大人向けの放送をしていた時期なんだと思うんですが、締めのクレジットを担当しているノーマン・シェリー氏が「僕の名前は――僕の本当の名前は、ノーマン・シェリーです」と言っていらして、なんだか可愛いです。データ配信の音声には入っていないんですが、BBCラジオの再放送では冒頭に「僕はドクター・ワトソン」という感じのイントロダクションが入っていたような気がします。
同じくクレジット部分では、「我が友人のカールトン・ホブズが、シャーロック・ホームズを演じました(“My friend Carleton Hobbs played Sherlock Holmes”)」と言ってらっしゃるのも可愛いです。
2023/05/13 レイアウト調整
References
↑1 | 参考:Carleton Hobbs – The Arthur Conan Doyle Encyclopedia/Carleton_Hobbs – Wikipedia |
---|---|
↑2 | 訳は「基本的なことだよ」とかで良いんでしょうか。 |
↑3 | 上がり調子。 |
↑4 | 上に同じく上がり調子 |
↑5 | ワトスンさんにものすごく怪訝そうに“What?”と返されている。 |