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犯人は三人と一匹?

発売日までの翻訳あそび最終更新:
4月16日(4ページ目

 ”Les Quatre de Baker Street”のシリーズ最新刊が2024年4月17日に発売です、めでたい!


 ベイカー・ストリート・イレギュラーズの少年たち3人にワトスンと名付けられた猫を加えた3人と1匹を主人公にしたフランス語コミック”Les Quatre de Baker Street”シリーズ、約3年ぶりに新刊が発売になります!

“Les Quatre de Baker Street – Tome 10” – Glenat

 さ、3年……! という恐ろしさもあり、その間に自分のフランス語力はどれほど上がっただろうかという反省もありますが、シリーズが続いていくのは単純に嬉しいです。

 第10巻のサブタイトルは”Le Musée Noir”。日本語に訳すと「闇の美術館」とか「犯罪博物館」という感じで、作中では、過去の事件の証拠品を保管している警察の保管庫を指すようです。
 公式サイトのあらすじを試訳してみたりもしたんですが、今回はトム回、イレギュラーズの後輩を助けるためにその”Le Musée Noir”からジャック・ザ・リッパーの手紙を盗み出す仕事を引き受けることになる……というお話のようで。

 今巻も冒頭10ページの試し読みが公開されているので、それを訳しつつ発売日および手元に届くまでを待ちたいなァと思っています。思ってはいますが、過去の例からするに、全ては訳しきらずに力尽きる可能性が高いです。
 以下過去の例も置いておきます。

2019年発売の第8巻”Les Maîtres de Limehouse”
2021年発売の第9巻”Le Dresseur de Canaris”

1ページ目

―― 私立探偵 E. Waddington[1]※何者かは不明の部屋にて

男性1「では……全員揃ったことでもあるし、本題に入ろうじゃないか!」

男性1[2]違う人かもしれない。「諸君、今夜貴兄らにお見せするのは特別な品だ……

   あの切り裂き魔の最後の犠牲者の写真、その遺体が発見された直後に警察によって撮影されたもの……もう7年前になる[3]”… sept ans, déjà!”。こういう意味で取っていいのかは分からない。!」

男性2「メアリー・ジェーン・ケリー?」

男性1「正にその彼女だ……ご覧の通り、不幸な一人の女性を死に至らしめた恐ろしい暴力を、この一枚は何一つ隠さず写し出している」

男性2「ホワイト・チャペル地区のジャック……彼の技巧の最高点だ……」

男性3[4]ピータースさん(多分)。「なんということだ!」

男性2「おや、ピータース? 失神してしまいそうな様子だな! 私はてっきり、ここに居るのは玄人ばかりだと思っていたのだが……」

男性4「しかし、この写真の出処はどこなんだね? 警察の資料庫か? どうやって……その……これは少しばかり危ういのではないか?」

男性1「心配ご無用! ここに内密の資料がある、とある貧しい元警視に関する個人的書類だ……

   諸君、競りを始めようではないか!」

2ページ目

――2ヶ月後

サラ[5]このあと”Sarah”と呼ばれているので多分サラさん。「アイザックおじさんとレイチェルおばさんもあんたのことをとても心配してるよ、ジェイコブ! 二人は司祭さま[6]rabbin。ユダヤ教の司祭。に相談して、それから……」

パック[7]=ジェイコブ。多分イレギュラーズの中では”Puck”で通っているのでそちらで表記しています。「サラ……おじさんとおばさんには放っておいてって言っといてよ、オレは上手くやってるんだ! あと、オレのことは『パック』って呼べって前にも言っただろ!」

サラ「ジェイコブ・プカッツ[8]“Pukatz”。発音の仕方が分からないのでプカッツではない可能性が高い。! あんたが付き合ってる悪ガキどもから何て呼ばれるかは好きにすればいいけど、ここではわたしの弟なんですからね!」

パック「『悪ガキども』、ね! へっ! 言っとくけど、オレらはシャーロック・ホームズの部下として働いてるんだぜ!

   今だって、オレのことを仕事が待ってんだ! あばよ、姉ちゃん!」

サラ「ジェイコブ……」

???「よお、ジェイコブ! しばらくぶりだな、そうだろ?」

3ページ目

トム「パックのやつ、何やってんだ? ずいぶん待たせやがって」

チャーリー「でもあいつらしくないよね、約束をすっぽかすなんて……」

トム「あっちで待とうぜ[9]ここの”.., là!”は「そこで,あそこで」の意味ではない気もする。! ホームズは確かに5時って言ってたよな、尾行の仕事だって?」

チャーリー[10]ムスっとしたお顔がかわいい(感想)。「うん……5時にクラーケンウェル[11]セントラル・ロンドンの地名であるようす。https://en.wikipedia.org/wiki/Clerkenwellって……ビリーはもう向こうに着いてるんじゃないかな……」

トム「パック殿は他に大事な用があるってんなら、オレらは奴抜きでやろうぜ! そしたら儲けも全部オレらのもんだ!」

ベイリー[12]※トムの古い知人。トムが泥棒稼業をやっていた頃の先輩。「トム!」

トム「ベイリー!?」

ベイリー「よう、坊主……パッチ[13]※盗賊団の首領。ベイリーさんの上司、トムの元上司。[14]パックとパッチが同じ物語に登場するの、脳味噌が混乱するのであまり良くないと思います!!がお前に会いたいとよ」

トム「はあ!? ありえねぇだろ! いいか、オレの代わりにあいつに伝えろよ、あいつが……」

チャーリー「トム……」

チャーリー「パック……」

ベイリー「悪いな……それと、聞かれる前に言っておくが、俺はあのガキがどこに閉じ込められているかは知らねぇ。俺は単なる伝言係でな……」

トム「あんたらはあいつに何をしたんだ[15]「何をさせたんだ」と取るべき……?(分からない)? もしパッチがオレに何か伝えたいなら、奴が……」

ベイリー「今のところは、あのガキは彼の“保護”下にある……だがそれも長くは続かんだろう……

    パッチは今夜お前を待ってる……一人で来い[16]“…seul.”だけ見るとパッチさんが一人で待ってくれているように読めるんですが、後のページを見るにトムが単身で来いと指定されているっぽいのでそうしておきます。。お前に仕事があるそうだ。」

4ページ目

――”THE MERRY MINSTREL[17]※酒場。ビリーたちはここの上階に間借りをして住んでいる。”亭にて

ビリー「どこに居たんだよ、まったく!

   僕ひとりで尾行する羽目になったんだぞ! 奴らが分かれて行動しなかったから良かったようなものの!

   あいつらどこに居るんだ、トムとパックは?」

チャーリー「パッチがパックを攫った……奴はトムに何かやらせたいらしくて……オレも一緒に行きたかったんだけど、他の奴には知らせたくない[18]“mais il a rien voulu savoir”の主語がトムなのかパッチ氏なのか判じかねています。って……」

ビリー「パッチが? パックを? でも……そんな……なぜ彼を?」

チャーリー「パックはオレたちの弟分だ……トムに何かを無理矢理やらせるには、何よりの方法だろ?」

ビリー「そうだけど……僕たちのどちらかを捕まえることもできたはず……」

チャーリー「パックの方が小さいし……攫うのも簡単だったんだろ……嫌な奴だ、パックは怖い思いしてるだろうな……」

ビリー「ホームズさんに知らせよう! あの人ならきっと……」

チャーリー「駄目だ! トムがはっきり言ったんだ、『ホームズにも警察にも言うな』って! パッチがトムに何をさせたいのか、確かめて……それから、みんなで考えよう!」

ビリー「でもパックが……」

チャーリー「警察がうろうろしてパッチに勘付かれたら、パックはもっと危ない状況に置かれることになる……

     オレだって同じくらい不安[19]“gercer”という動詞は「…にひび割れを生じさせる」という意味合いだそうで、比喩的な使い方に関しては用例が出てこなかったんですが、まァたぶんそういう……心が砕けそう的な話ではないかと……!だよ、ビリー……でも他にどうしようもないんだ!」

ビリー「奴らがパックを狙ったということは、パッチはかなりのあいだ、あの隻眼を僕らに向けていたと考えるべきだな……」

チャーリー「奴はロンドン中の物乞いの王だぜ、ビリー……

     奴自身には片目しかなくても、あちこちに監視の目を持ってるんだ……」

References

References
1 ※何者かは不明
2 違う人かもしれない。
3 ”… sept ans, déjà!”。こういう意味で取っていいのかは分からない。
4 ピータースさん(多分)。
5 このあと”Sarah”と呼ばれているので多分サラさん。
6 rabbin。ユダヤ教の司祭。
7 =ジェイコブ。多分イレギュラーズの中では”Puck”で通っているのでそちらで表記しています。
8 “Pukatz”。発音の仕方が分からないのでプカッツではない可能性が高い。
9 ここの”.., là!”は「そこで,あそこで」の意味ではない気もする。
10 ムスっとしたお顔がかわいい(感想)。
11 セントラル・ロンドンの地名であるようす。https://en.wikipedia.org/wiki/Clerkenwell
12 ※トムの古い知人。トムが泥棒稼業をやっていた頃の先輩。
13 ※盗賊団の首領。ベイリーさんの上司、トムの元上司。
14 パックとパッチが同じ物語に登場するの、脳味噌が混乱するのであまり良くないと思います!!
15 「何をさせたんだ」と取るべき……?(分からない)
16 “…seul.”だけ見るとパッチさんが一人で待ってくれているように読めるんですが、後のページを見るにトムが単身で来いと指定されているっぽいのでそうしておきます。
17 ※酒場。ビリーたちはここの上階に間借りをして住んでいる。
18 “mais il a rien voulu savoir”の主語がトムなのかパッチ氏なのか判じかねています。
19 “gercer”という動詞は「…にひび割れを生じさせる」という意味合いだそうで、比喩的な使い方に関しては用例が出てこなかったんですが、まァたぶんそういう……心が砕けそう的な話ではないかと……!